朝日新聞社主催による、パネルディスカッション「経営者が語る『ダイバーシティー経営成功の鍵は女性の健康!』」で、興味深い取り組みを知りました。
ゲストは、池田秀子氏/メルク・ベトナム社長、清水新一郎氏/日本航空株式会社代表取締役副社長執行役員、入山章栄氏/早稲田大学大学院経営管理研究科 早稲田大学ビジネススクール 教授、そして進行は、朝日新聞政治部長/林尚行氏
メルクでは、2017年より、YELLOW SPHERE PROJECTというプロジェクトを立ち上げています。これは、 “新しい命を宿す為の努力を、皆が応援する社会”を目指すというコンセプトに基づいた社員をサポートしたプログラムで、ライフサイエンス・ヘルスケア事業会社として、具体的な取り組みをおこなっています。
また、1月に性教育、生殖教育の学びなおしとして、「もっと早いうちから知っていれば良かった・・・」を解決。みんなの“性教育・生殖教育の学び直し”という動画コンテンツ配信を行っています。
YELLOW SPHERE PROJECT Enjoy Life School
みんなのカラダと新しい命の授業
YELLOW SPHERE PROJECTは、下記の3つのカテゴリーに分けられサポートされています。
YELLOW SUPPORT 社員啓発教育
YELLOW LEAVE 不妊治療を受けるための有給休暇
YELLOW POINT 不妊治療費の助成
そして、啓発教育については、下記のとおりの3つの女性の不調のレイヤーごとに、不調をサポートし、社員同士の理解を促進するプログラムがあります。
〇生理セミナー→オンライン相談→クリニック受診→服薬
〇不妊セミナー→オンライン相談→クリニック受診→服薬
〇更年期セミナー→オンライン相談→クリニック受診→服薬
このメルクの取り組みの本質は、「女性」に限っているものではなく、社会課題として捉え、組織の中での互いの理解促進やリテラシー向上のために取り組んでいるということです。
池田氏によれば世界の男女格差が解消すれば、収益は、172兆ドルにもなるそうです。
また、女性役員が30パーセント以上いる企業はその割合が低い企業に比べ業績が上回っている傾向があるなどのデータがあるそうです。
現に、メルクのアジアパシフィックの9人中6人は女性がトップです。
大事なのは、役員の中に女性を一定数入れなければならない、のではなく、ベトナムの代表として必要だった人材がたまたま女性で、たまたま日本人であるということです。
また、入山氏によれば、経営学の視点から、生産性を上げるには、多様な知見と変化やチャレンジをする必要があるということ、そのためには変化を恐れず風土改革を行っていく、そして新しいアイディアや価値を生み出すためには、組織も国も多様な人間が同じところに集まり、知の探索を行うことが必要であると言及されていました。
参考:メルクが行った 第6回 「妊活®・不妊治療に関する意識と実態調査」