43歳で妊娠された女性の場合は

こまえクリニック 不妊ルーム放生先生のコラムから、世の中の話題になっているトピックを不定期にお届けします。

「不妊ルーム」で43歳の女性が妊娠されました。
この方の経過は大変興味深いものです。
彼女は当院を訪れる前に、
不妊治療のクリニックで体外受精を経験されていました。
4回採卵するも、移植できたのは1回のみで、妊娠には至りませんでした。
それで相談に見えたわけです。
彼女のお話を聞いたのちに、
「とりあえず、頭も、心も、身体も休めましょう」とアドバイスしました。
「不妊ルーム」は、自然妊娠と不妊治療の間に位置するベースキャンプです。

リセットを勧めたわけです。

ベースキャンプというのは、登山で言えば、
そこから頂上を目指すための基地です。
しかし、天候等が悪くなったり、体調が悪かったりすれば、
戻ってこられるところでもあるのです。
それで彼女には、検査を行いながら、「卵巣セラピー」として、
漢方薬を始め、亜鉛製剤のなどを投与していきました。
しばらくすると彼女は気力も充実してきたので、
もう一度体外受精に挑戦したいということでした。
それで信頼できる医療機関に紹介状を書いて、
当院と紹介先のコラボでフォローアップを行っていました。
しかし残念ながら、体外受精を4回行って、
2回胚移植できたものの、妊娠には至りませんでした。
医師からは、「良好な卵が採れる可能性が低いです」と告げられました。
しばらくして、彼女は、
「不妊治療はもうけっこうです。先生のところで今後フォローアップしてください」と申し出られたのです。「不妊ルーム」はベースキャンプですから、私がフォローアップをすることになりました。
初心に返ってもらい、子宮卵管造影検査なども依頼しました。亜鉛製剤、サプリメント、漢方薬と、できることはすべておこないました。
そして彼女の基礎体温表を見てみると、高温期が続いているわけです。
実際に尿検査を行ってみると妊娠反応が陽性でした。
胎嚢確認も無事におこなえました。
彼女が、「妊娠のことを忘れて、アンチエイジングのつもりで通っていました」
と言われたのが印象的でした。

こまえクリニック院長 放生 勲

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