放生医師のコラムより「不妊治療を休んでみるのも不妊治療です」

こまえクリニック 不妊ルーム放生先生のコラムから、世の中の話題になっているトピックを不定期にお届けします。

不妊治療が不妊を呼ぶこともある

患者さんのために一生懸命治療をしている医師がほとんどです。

ただ、治療を受けたことによってかえって基礎体温がガタガタになったとか、治療自体に強いストレスを感じているというのであれば、その医療があなたに合っていないというひとつのシグナルかもしれません。

また、何年も不妊治療を受けているのに、いつまで経っても妊娠できないという人も少なからずいるでしょう。このような女性たちのなかには「不妊治療不妊」にかかっている人もいます。

では、不妊治療不妊なのかどうかは、どのように判断すればいいのでしょうか。それを測るモノサシのひとつが、基礎体温表だと思います。

基礎体温表が発するサインを正しく読み取ることができれば、「不妊治療不妊」という状態にも気づくことができるでしょう。

そして基礎体温表をつける際は、ただ「記入する」だけでなく、その折れ線の示すシグナルを「読み取る」という知恵、すなわち、リテラシーを身につけるようにしましょう。

不妊治療にはステップダウンもある

■『妊娠レッスン』を読みました。あの本を読んで、はじめて私は「ステップダウン」という言葉がこの世の中にあることを知りました。

私の著書を読んでこんなメールを送ってくれた女性がいました。

現代人は「自己実現」こそ人生の目的とばかりに、次のステップへ進むことに必死になってはいないでしょうか?
そのまま不妊治療に当てはめて、治療はステップアップするのが当たり前、と思ってはいませんか?

しかし、実際には「ステップダウン」が大変有効な場合は少なくありません。

例えば、今の主治医は「人工授精から体外受精に切り替えるしかない」と言っているけれど、別の医師に聞いてみたら「まだ子宮卵管造影検査がおこなわれていませんよ」という意見が出るかもしれません。

もし私に意見を求められて、その人に自然妊娠の可能性があると思えるなら「タイミング法に戻ってみましょう」あるいは「不妊治療を休んでみてはいかがですか?」と言うかもしれません。

だから、ステップダウンという言葉を知っておいてください。治療に行き急いで疲れたとき、辛くなったとき、迷ったとき、あなたには常にステップダウンという選択肢があるのだということを忘れないで下さい。

こまえクリニック院長 放生 勲

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