産むも自由、産まないも自由だけど。

日本は低用量ピルの服用率は1~3%と欧米やアジア諸国と比べて低い上に、中絶手術に公的な支援や保険の適用がなく、緊急ピルが薬局などで手軽に購入できない現状。

熊本の慈恵病院は赤ちゃんポストの設置で有名ですが、最近、身元を明かさずに出産する「内密出産」を希望する10代の女性が出産したことを公表しニュースになりました。

慈恵病院に駆け込んだ女性の苦悩、生命倫理感や医師の行動に対するご意見はたくさんあるでしょうが、内密出産は望まない赤ちゃんを遺棄や虐待が起こる可能性を未然に防ぎ命を救いました。

妊娠したいネットでは、「内密出産」について少し調べてみました。

「内密出産=妊娠を周囲に知られることなく匿名で出産を除く女性が、特定の関係者以外に身元を明かさずに出産すること。またはその法制度」

とされています。ドイツでは、2014年に内密出産法が施行されました。 母親を仮名にして出生登録ができ、出自証明書は行政機関が保管し、子供が16歳になれば、出自証明書を閲覧できます。妊娠相談所や病院、家庭裁判所など関係機関が密接に連携し、内密出産を希望する女性を支え費用は国が負担。妊婦が相談できるホットラインも24時間年中無休で、匿名、無料で話すことができます。

しかし欧州すべてがそのような制度があるわけでもありません。

ドイツに続き、フランス、イタリア、ルクセンブルグは匿名出産が法的に可能です。またオーストリア、チェコ、ハンガリー、スロバキア、ベルギー、ポーランド、ロシア、スイスが合法あるいは容認と緩やかな方針をとっていますが、一方スウェーデン、スペイン、イギリスは認めていません。

しかし、赤ちゃんポスト、内密出産という制度について「命を救えた」が、しかしその後の養子縁組がうまく行かず「その後」の子供の幸せや命をどこまで守れるかという問題もあり、そう簡単なことばかりではなさそうです。

参照:赤ちゃんポストの仕組み

厚労省で、妊娠を他者に知られたくない女性に対する海外の法・制度に関する調査研究報告書としてデータが公開されていました。

出典:2019年3月/厚生労働省

予期しない、計画しない妊娠をした女性は、妊娠継続や産み育てることを前向き に受け止められず、家族・知人、行政、医療機関等、様々な他者に妊娠を知られたくないという思い から、意思決定に大きな困難を抱えている女性もいます。

妊娠を他者に知られたくない女性への取り組みの海外の事例は、国によってさまざまで、アメリカ、ドイツ、フランスのように呼称や一定の条件下で 子どもを養育しないことを前提とした出産や引渡しが法令上認められている国がある一方で イギリスや韓国など刑法上の犯罪に該当する国もあり比較は難しいようです。

アメリカ

「乳児避難所法」

○1999年乳児避難所法を制定

〇現在は全米50の全ての州その他で制定されている

ドイツ

○18世紀初め、孤児院でベビー・ボックスの原型設置 スタート

2014年5月1日 内密出産法施行

フランス

○18世紀末には医療機関における匿名での出産を認める制 度が存在

○1993年匿名出産制度制定

今回のニュースから専門家の議論が活発に行われ、啓発と法整備がすすむことを願います。

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