フェムテックで働く女性の健康を支援

2015年に女性活躍推進法が設立してはや7年近くになり働く女性が当たり前の社会になりましたが、女性特有の体調をフォローすることで、生産性向上や離職率の低下への効果を試みるサービスが始まっています。この度は女性の働きやすい職場環境を支援するための研修や社内の匿名掲示板、婦人科健診などを割引価格で受けられる福利厚生サービスを開発したnanoniの張聖代表にお話を伺いました。

ーー 創業のきっかけは、ご自身の体験からと伺っていますが、どのような気づきだったのでしょうか?

働いているときに受けた婦人科健診で疾患が見つかり放っておけば不妊にも成りかねない状況でした。毎年健康診断は受けていましたし、どちらかと言えば健康問題については感度が高い方だと思っていましたが気づけなかった事にショックを受けました。以前の職場はオープンなカルチャーでしたので同期にそのことを話すと、同様の経験をしている女性がなんと3割を占めました。こんなにも高い確率なの当事者となるまで女性特有の健康問題を気づけないことに愕然としました。婦人科領域において二人に一人の女性は何かしらの不調に悩んでいると感じています。妊娠を希望した時に、きちんとできるのだろうかと漠然と不安を抱えながら働いている女性は実は多いのではないでしょうか。
振り返ってみると生理のこと、女性特有のカラダの事など、学校教育において充分に知識を得られなかったという体感があります。痛みを感じたり当事者になるとかかりつけ医ができて知識が増えていきますが、自覚症状がない、非当事者のうちに前もって予防するための知識を身に着けられる方法が必要なのではないかと考え始めました。そこで、学校教育の次に学べる場所、意識の低い人でも必ず人の話を聞く場はどこだろうと考えたときに、企業の中での新人研修なのではないか?健やかに働くために、ヘルス領域の啓発活動を行いたいと考えたことが始まりです。

ーー具体的にはどのようなビジネスをお考えですか?

福利厚生サービス「carefull」を開発いたしました。「ヘルスケアセミナー」「婦人科健診、オンライン診療などの医療サービスの割引価格での提供」「匿名掲示板」と3種類のアプローチをパッケージとして組んでおります。連携しているクリニック、スタートアップは10社を超えており学びからヘルスケアまで包括的にサポートいたします。また、企業としてどのように女性活躍推進にウェルネスを取り入れていったらよいのかというご相談に対してもサポートさせていただきます。carefullは、各種ヘルスケアサービスと当事者やその周辺の方とをつなぐプラットホームになればと考えております。

ーー女性活躍推進となるとキャリアアップという枠組みのサービスが多数ありそうですが、ウェルネスという切り口での取り組みはまだまだ市場が醸成していないですよね?

この領域のサービスとしてはここ数年さまざまな企業が参加していますが、今は企業さまのニーズを理解し、皆で市場をつくっていくタイミングだと思います。フェムテックサービスをどう導入するか、利用するのかなど我々も学ばせていただいています。

ーー業界や、男性女性社員の比率など企業さまにもよりますし、経営者によっても違いますよね。経営者が理解することも大事でしょうし、業界特性にもより女性比率などが変わってくると思いますが

はい。現在ご契約いただいている、アイスタイルさん(@コスメ)など女性社員比率の高い企業さまなどでは、妊活のサポート等社内から既に声があがっていてニーズが顕在化していた、そこにどう企業側が応えられるかというところに、我々のサービスがマッチしたと考えていますが、例えば製造業など男性社員が大半の中で女性社員比率の低いところでも、いかに離職を防ぐかというサポート体制づくりというものも経営課題上にはあると考えています。取り組みは企業さまによりニーズが異なるので、柔軟にカスタマイズを行い寄り添っていきたいと思っています。

女性活躍推進事業という大きなカテゴリーの中では 「キャリア形成」と安心して働くための「心身健康のサポート」ふたつの側面があります。世の中のサービスとしてはキャリア形成はたくさんありますが、必ずしもキャリアアップだけですと、企業として応えきれていないのではないでしょうか。

女性に限らず心身の健康は社員全員が必要です。守りの施策として必要なヘルスリテラシーの啓発を行うこと。ここを充実させる取り組みをおこなっていたいと思っています。女性の働き方の充実は、いろいろな形があるのではないでしょうか。必ずしもキャリアアップだけではなく、自分のカラダを知るということで健やかな毎日、家庭とのバランスなど生き生きと働くきっかけが得られると思っています。生理の在り方について、痛みは当たり前、生理は毎月あって毎月我慢、と思っている方はまだたくさんいらっしゃいます。

婦人科の先生にはご自身が低用量ピルを服用して生理周期をコントロールしているケースもあります。今の時代は晩産化して子供を産まない期間が長くなっているため、生理の回数が増え、その結果婦人科系の疾患が増えていると聞きます。知識がないことがリスクとなって当事者に返ってきている状況です。生理の痛みや我慢が当たり前ではないことを知ってもらい過ごしやすい環境をつくり、男女がお互いの生物学的な違いを理解する必要があると思います。

ひとりひとりが、何かしらの形で知識を持てば子供にも伝承できるため、我々の啓発は意義が大きいと思っています。

以前テスト的に匿名掲示板を走らせたことがあるのですが、女性の健康問題に対しての当事者意識を持っている人と持っていない人の差が大きいと感じました。自分に痛みの症状がないと情報を能動的に得る機会もなく質問がわかないわけです。しかしながら少しでも情報のある方には質問が生まれます。

我々としては、将来妊娠を希望する方が望んだタイミングでライフイベントを実現するためにもプレコンセプションケアに向き合うための最低限の知識が必要と考えています。

ーー自分自身で気づいて守る、自分のカラダづくりのサポート事業ということですね

はい。企業さまのニーズに合わせて、必要な連携もどんどん増やしアップデートして参ります。

フェムテックを活用した女性活躍推進制度 carefull のお問い合わせはこちらから

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